
パレット君
先生! ハサミ貸して! 今すぐ!!もう限界だ、こいつを切り落とさないと首がおかしくなっちゃうよ!

先生
おっと、落ち着いてパレット君。何を切り落とすって? 君の首には何もついてないよ。……ああ、Tシャツの襟についてる「タグ」のこと?

パレット君
そう、その「白い悪魔」だよ!先生にはペラペラの布に見えるかもしれないけど、僕にとっては**「硬いプラスチックの板」**や**「チクチクするタワシ」**が縫い付けられているのと同じなんだ。動くたびに首筋に角が刺さって、気になって発狂しそうなんだよ!

先生
プラスチックの板に、タワシ……。普通は「ちょっと気になるな」と思っても、着ているうちに忘れてしまうものだけど、君はずっと気になっているの?

パレット君
忘れるなんて不可能だよ。一度「ここにある」と感知したら、僕の皮膚センサーはずっと「警告信号」を出し続けるんだ。授業中も、首元でタワシが暴れている感覚で頭がいっぱいで、先生の話なんて一文字も入ってこないよ。

先生
それは集中できないわけだ。新しい服を買ってもすぐにタグを切り取ったり、着るのを嫌がったりするのは、オシャレの選り好みじゃなくて「痛みの回避」だったんだね。

パレット君
うん。だから僕は、裏返しに着たり、着古してクタクタになった服じゃないと安心できないんだ。着古した服は**『ふわふわの毛布』**みたいに柔らかくて安心するけど、新品の服は**『硬い段ボール』**を着せられてるみたいにゴワゴワして、動くたびに身体が擦れて痛いんだ。
■「慣れ」ない皮膚感覚通常、人間は服を着た瞬間は布の感触を感じますが、すぐに脳が順応して何も感じなくなります。
しかし、触覚過敏のある人の脳は、この順応が起こりにくく、タグの硬さや縫い目の凹凸を「皮膚を攻撃する刺激」として認識し続けます。
これを「触覚防衛反応」と呼び、軽微な刺激でも「痛み」や「恐怖」として処理してしまいます。
■不機嫌の理由は「服」かもしれない子供が朝、理由もなく泣き叫んで着替えを嫌がったり、一日中イライラして落ち着きがない場合、原因は「服の着心地」にあるかもしれません。
タグ、縫い目、素材(ウールや化繊)、ゴムの締め付けなどが、常に彼らにストレスを与え続けているのです。
■私たちにできること「そのうち慣れる」「我慢しなさい」は禁句です。物理的に取り除くのが唯一の解決策です。