
エマ
…どうしようレンさん。私、もう友人のユキと顔を合わせられません。きっと私の表情を見ただけで、「あ、こいつ嘘ついてる」って見抜かれたに決まってます!

レン
やあエマ。今日はスパイ映画のような切迫感だね。一体どんな重大な国家機密を漏らしたんだい?

エマ
笑い事じゃないです! 実は昨日、ユキから遊びに誘われたんですけど、どうしても家でゴロゴロしたくて「熱がある」って嘘ついちゃったんです。でもさっき、コンビニでバッタリ会っちゃって…。一瞬目が合った時、私の顔に「仮病です」って書いてあるのが絶対伝わった気がするんです!

レン
なるほど。自分の内心が相手に筒抜けになっている気がして、居ても立っても居られないわけだ。

エマ
だって心臓バクバクだったし、視線も泳いでたし!あんな挙動不審な態度、誰が見ても「クロ」ですよ。もう絶交されるかも…。

レン
落ち着きなよ。それは君の脳が見せている**「透明性錯覚」**という幻影だ。人間はね、自分の感情を強烈に感じている分、「他人も同じくらい私の感情を読み取れているはずだ」と過大評価してしまうんだよ。

エマ
過大評価…? でも、ドキドキしてるのは事実ですし…。

レン
君の中では「警報音」が鳴り響いているかもしれないが、外から見れば「少し驚いた顔」程度にしか見えていない。ある実験では、嘘をついている人が「バレた」と思った確率より、実際に相手が見抜いた確率は遥かに低かったんだ。

エマ
つまり…ユキにはバレてない可能性が高いってことですか?

レン
ああ。彼女は「あ、エマだ。熱は下がったのかな?」くらいにしか思っていないはずだよ。君の心は君が思うほど、透明(スケスケ)じゃない。もっと厚手のカーテンがかかっているのさ。

エマ
そっか、透明じゃないんだ…。なんだか「自白」する前に相談してよかったです。危うく自分から「ごめん嘘ついてた!」ってLINEするところでした。

レン
それが一番の悪手だね。堂々としていればいい。ただし、コンビニで買った「大量のお菓子」を見られていなければ、の話だけどね?

エマ
…あ。レジ袋、隠すの忘れてた。

レン
…うん。それは錯覚じゃなく「証拠」だね。観念して謝っておいで。
やあ、レンだ。今回のテーマは「透明性錯覚(Illusion of Transparency)」。
自分の思考や感情が、実際以上に他人に透けて見えている(バレている)と勘違いしてしまう心理バイアスのことだ。
■スピーチの緊張は伝わらないこれは嘘に限った話ではない。
大勢の前でスピーチをする時、本人は「足が震えて、声が上ずって、緊張しているのが丸わかりだ」と絶望していても、聴衆には「堂々と話している」ように見えていることが多い。
内面の嵐は、外側には意外と漏れ出していないものなんだ。
■処方箋「今の失敗、動揺してるってバレたかな?」と不安になったら、こう思い出すといい。
「私のポーカーフェイスは、自分が思っているより優秀だ」これを知っているだけで、無駄な焦りが消えて、本当に落ち着いて振る舞えるようになるはずだよ。