
エマ
もう信じられない! あの田中教授、絶対に性格悪いです!レンさん聞いてくださいよ、私のレポート評価「C」だったんですよ!?

レン
やあエマ。今日はまた一段と怒り心頭だね。君のことだ、どうせ「締め切り前日に徹夜して適当に書いた」とかじゃないのかい?

エマ
違いますよ! 今回はちゃんとやりました!それなのに「論理構成が甘い」とか難癖つけられて…。大体、あのおじいちゃん教授、私のこと嫌いなんですよ。授業の説明も分かりにくいし、教室のエアコンもうるさかったし!

レン
なるほど。悪いのは全て「教授」と「環境」というわけだ。…ところでエマ、先週返ってきた英語のテストはどうだったんだい?

エマ
あ、それは満点でした!やっぱり私、語学の才能あるみたいです。昔から勘がいいし、直前の詰め込みも得意なんですよね〜。

レン
…ふっ。面白いね。レポートの失敗は「教授とエアコンのせい」で、テストの成功は「自分の才能のおかげ」。君の脳は、実に見事な「自分勝手フィルター」を装備しているようだ。

エマ
む…。そう言われると、なんだか私がすごく性格悪い人みたいじゃないですか。

レン
性格の問題じゃないよ。これは誰の脳にも備わっている「心のプロテクター」なんだ。失敗を自分のせいにしすぎると心が壊れてしまうから、脳が勝手に言い訳を作り出して、君のプライドを守ってくれているのさ。

エマ
脳が私を守ってる…? じゃあ、このままでいいってことですか?

レン
守るだけならね。でも、成長したいなら別だ。「あいつが悪い」と言った瞬間、君は「自分にはどうすることもできなかった」と認めたことになる。つまり、人生の主導権を他人に明け渡してしまっているんだよ。

エマ
人生の主導権…。うーん、確かに「教授のせい」にしてる限り、次のレポートもC判定のままかもしれませんね。

レン
その通り。悔しいなら、今回はその優秀な「守り」を解除してみることだね。「私の準備不足だったかも」と認めるのは痛いけれど、それがデキる女への第一歩だよ。

エマ
うう、痛いところを突きますね…。わかりましたよ! 次はぐうの音も出ない完璧なレポート書いて、あの教授をギャフンと言わせてやります!

レン
はは、その意気だ。…あ、でも店内で暴れるのは禁止だよ? 壊した商品の弁償は「君のせい」になるからね。
やあ、レンだ。今回のエマのような心理を「自己奉仕バイアス(Self-Serving Bias)」と呼ぶ。
成功した時は「自分の能力や努力のおかげ(内的要因)」と考え、失敗した時は「運や他人のせい(外的要因)」と考える心理傾向のことだ。
■なぜ脳は言い訳するのか?これは、自尊心(プライド)を傷つけないための「防衛機制」の一種だ。
スポーツ選手が勝った時に「ハードな練習のおかげです」と言い、負けた時に「審判の判定がおかしかった」と言うのもこの心理が働いている。
■処方箋このバイアスは心を安定させる鎮痛剤にはなるが、使いすぎると「反省」の機会を奪ってしまう。
もし失敗を他人のせいにしたくなったら、「他人のせいにする=改善のチャンスを捨てる」と思い出そう。
痛みを伴う反省こそが、君を強くする唯一の栄養源なんだ。