
タヌキ店長
参ったなぁ。新商品の「森の特製クッキー」、1枚100円なんだけど、みんな「高い」って言って素通りしていくんだよ。材料にこだわったから、これ以上安くすると赤字なんだけど……。

フクロウ先生
それは「100円」という数字を単体で見せているからですよ。お客様には「比較対象」がないので、直感的に「クッキー1枚に100円は高い」と判断してしまうのです。では、その隣に「金箔入りプレミアムクッキー 1枚1000円」という値を置きなさい。

タヌキ店長
ええっ!? 1000円のクッキーなんて誰も買わないよ!そんな売れないものを置くスペースなんてないよ。

フクロウ先生
売れなくていいのです。それを最初に見たお客様は「うわ、1000円もするのか!」と驚きます。その直後に隣の「100円」を見ると、どう感じると思いますか?

タヌキ店長
うーん……。「1000円に比べれば、100円なんてタダみたいなもんだな」って思うかも?

フクロウ先生
その通り。最初に見た「1000円」という数字が基準(アンカー)となり、その後の価格判断に影響を与える。これが『アンカリング効果』です。絶対的な価値ではなく、相対的な落差で「安い」と錯覚させるのです。

タヌキ店長
なるほど! 最初の数字が基準になるのか。よし、じゃあ店の入り口に「壺 1億円」って書いて置いておくぞ!そうすれば、店内の商品が全部激安に見えるはずだ!

フクロウ先生
……そこまで行くと「ふざけた店」だと思われて、誰も入ってきませんよ。比較対象は、あくまで「同じカテゴリーの商品」でなければ意味がありません。
最初に提示された数値や情報(アンカー=錨)が基準となり、その後の判断がその基準に強く引きずられてしまう心理現象です。行動経済学のダニエル・カーネマンらが提唱しました。
比較の基準を操る
人間はモノの絶対的な価値を判断するのが苦手です。そのため、目の前にある情報を手掛かりに価値を測ろうとします。
メニューの法則
レストランのメニューで、一番高い料理をページのトップや目立つ位置に配置するのは、この効果を狙ったものです。
最初に「ステーキ5,000円」を見ることで、その下にある「ハンバーグ2,000円」がリーズナブルに見え、注文を誘導できるのです。