
タヌキ店長
フクロウ先生、聞いてくれ!僕は今日、店の利益を一気に2倍にする「天才的な作戦」を実行したんだ。名付けて『全商品・価格2倍キャンペーン』だ!単純計算で売上も2倍になるはずだろ? これで僕は億万長者だよ!

フクロウ先生
……それはまた、乱暴な作戦に出ましたね。それで、お客様の反応はどうですか?机の上を見ると、結果は真っ二つに分かれているようですが。

タヌキ店長
そうなんだよ……おかしいんだ。見てくれ、この売れ残った「森のプレミアム・マカロン」。普段は1個500円で人気なのに、1000円に値上げした途端、ピタッと売れなくなったんだ。みんな「高いから今日は我慢する」とか「隣町の安いクッキーにするわ」って言って、誰も買ってくれないんだよ。

フクロウ先生
マカロンは贅沢品ですからね。では、もう一方の「毎日飲む持病の薬草」の方はどうですか?普段は100円ですが、200円に値上げしましたよね。

タヌキ店長
あ、そっちは完売したよ!みんな「えーっ!急に2倍? 困るなぁ」って文句は言ってたけど、結局「でもこれがないと体調が悪くなるし……」って、渋々ながらも全員買って行ってくれたんだ。マカロンは全く売れないのに、薬草は完売。同じ「2倍の値上げ」なのに、なんでこんなにお客さんの反応が違うんだろう?

フクロウ先生
それこそが『価格弾力性』の違いです。マカロンのような「贅沢品」は、値段が上がるとすぐに客が離れてしまう(弾力性が大きい)。一方で、薬草のような「必需品」は、値段が上がっても買わざるを得ないため、客が離れにくい(弾力性が小さい)のです。

タヌキ店長
なるほど!「代わりがあるモノ」や「なくても死なないモノ」は、値段に敏感なんだね。逆に「それがないと生きていけないモノ」なら、いくら高くても売れるってことか!

フクロウ先生
その通りです。だから賢い企業は、商品の種類によって値上げをするか慎重に決めますし、自社の商品が「なくてはならない存在(必需品化)」になるようブランドを作るのです。何も考えずに全部一律で値上げすればいいというものではありませんよ。

タヌキ店長
だったら話は早い!今日からこの店を、砂漠のど真ん中に移転させるぞ!そこで「水」を1杯1万円で売れば、必需品だから飛ぶように売れるはずだ!

フクロウ先生
……理論上は正解ですが、そんな場所まで来てくれるお客様がいませんよ。それに、足元を見たあくどい商売は、すぐに信用を失って破綻します。
商品の価格を変えたときに、需要(売れる量)がどれくらい変化するかを示す指標です。「ゴムの伸び縮み」に例えて弾力性と呼ばれます。
・弾力性が「大きい」商品(値上げに弱い)
価格が上がると、ゴムが伸びるように客が敏感に反応し、すぐに売れなくなってしまう商品です。
特徴:贅沢品、嗜好品、代わりの商品がたくさんあるもの。
例:ケーキ、宝飾品、特定のメーカーのスナック菓子など。
顧客心理:「高くなったなら、今日は買うのをやめよう」とか「隣のメーカーの方が安いからそっちにしよう」と簡単に切り替えられてしまいます。
・弾力性が「小さい」商品(値上げに強い)
価格が上がっても、ゴムが硬くて伸びないように、売れる量があまり変わらない商品です。
特徴:生活必需品、インフラ、代わりのきかないもの、中毒性のあるもの。
例:お米、塩、ガソリン、電気代、薬、タバコなど。
顧客心理:「高くなったけど、買わないと生活できないから仕方ない」という心理が働き、購入を継続します。
・ビジネスへの教訓
タヌキ店長のように、弾力性が大きい(贅沢品)を安易に値上げすると、客離れを起こして売上が激減します。
逆に、独自性が高く「この店でしか買えない」「これがないと困る」という状態を作れれば、多少強気な価格設定でもお客様はついてきてくれるのです。