
先生
今日はみんなでお楽しみ会だね。飾り付けのために風船を膨らませようか!……あれ? パレット君、なんで教室の隅で耳を塞いで震えているんだい?

パレット君
先生……お願い、その「時限爆弾」を僕に近づけないで。いつ爆発するか分からない爆弾を、みんな笑顔で投げ合っているなんて信じられないよ。

先生
爆弾? 風船のこと?確かに割れると大きな音がするけど、ゴム風船だよ。「バンッ!」ってなっても、痛くはないじゃないか。

パレット君
その「いつ鳴るか分からない」のが一番怖いんだ。ピストルや風船の破裂音は、僕にとって心臓を直接握りつぶされるようなショックなんだよ。「来るぞ、来るぞ……」って身構えている間、筋肉はずっと強張り続けて、息もできない。

先生
音そのものよりも、「いつ来るか分からない待ち時間」が拷問なのか。僕たちが、爆弾処理班の横で目隠しをして立たされているような気分かな?

パレット君
まさにそれ。「割れるかもしれない」という可能性(リスク)がある物体が視界にあるだけで、脳のCPUを99%持っていかれる。楽しむどころか、生存本能が「逃げろ」って叫び続けているんだ。

先生
それじゃあお楽しみ会どころじゃないね。「怖がり」なんじゃなくて、脳が危機管理モードから戻れなくなっているんだ。風船を使わない飾り付けに変えるか、準備が終わるまでパレット君は別の部屋にいようか。
■驚きが「痛み」になる人間には、突然の大きな音に体がビクッと反応する「驚愕反射(きょうがくはんしゃ)」が備わっています。
発達特性のある人の中には、この反射が極端に強く出る人がいます。健常者が「わっ、びっくりした」で済むレベルでも、彼らにとっては心拍数が急上昇し、冷や汗が出て、しばらく動けなくなるほどの「身体的なダメージ」を負うのです。
■「いつか鳴るかも」という予期不安風船、運動会のピストル、花火などは、「いつ鳴るか予測できない」ため、常に防御態勢を取り続けなければなりません。
この緊張状態(過覚醒)は非常にエネルギーを消耗します。
「慣れれば大丈夫」と言われますが、いつ襲ってくるか分からない恐怖に慣れることは、生物学的に難しいのです。
■私たちにできること