
タヌキ店長
フクロウ先生、ちょっと相談に乗ってよ。うちのバイトの「カメ君」なんだけど、そろそろクビにしようかと思って。あいつ、やる気がないんだよ。

フクロウ先生
ほう? カメ君といえば、先月の売上トップの功労者ですよね?なぜ「やる気がない」と思うのですか?

タヌキ店長
数字なんてマグレだよ!だって僕、昨日見たんだ。あいつ、仕事中に一回「あくび」をしてたんだよ!それに、定時になった瞬間に帰るし、絶対に仕事をナメてる証拠だね!

フクロウ先生
……たった一回のあくびで?では、毎日遅刻してきて、仕事中にスマホゲームをしている「キツネ君」はどうなのですか?

タヌキ店長
キツネ君はいいんだよ!遅刻するのは「大物感」があるし、スマホを見てるのは「情報収集」でしょ?彼は愛嬌があるから、将来化けるタイプなんだよ。僕にはわかる!

フクロウ先生
それが典型的な『確証バイアス』による人事評価の歪みです。君はカメ君を「嫌い(やる気がない)」と先に決めてしまった。だから「あくび」のようなマイナス情報ばかりが目につき、「売上トップ」というプラス情報は「マグレ」として脳が無視してしまうのです。逆に、好きなキツネ君のことは、悪い行動さえも「大物感」と好意的に解釈している。

タヌキ店長
うぐっ……。でも、僕の「経営者としての勘」は絶対なんだ!カメは生理的に好かん! クビだクビ!

フクロウ先生
そうやって優秀な人材を切り捨て、ご機嫌取りの無能ばかり残す……。倒産する会社の典型的なパターンですね。まずはその曇った眼鏡を割りなさい。
自分の信念や仮説(思い込み)を支持する情報ばかりを無意識に集め、反証となる情報を無視したり、歪曲して解釈したりする心理傾向のことです。
人間関係のレンズを歪ませる
このバイアスが最も厄介なのは、人間関係においてです。
一度「この人は性格が悪い」と思い込むと、その人が親切にしてくれても「裏があるに違いない」「点数稼ぎだ」とネガティブに解釈してしまいます。
逆に「この人は優秀だ」と思い込むと、ミスをしても「誰にでも失敗はある」「攻めた結果だ」とかばうようになります。
人事評価エラー(予言の自己成就)
上司が「こいつはダメだ」という色眼鏡で部下を見ると、部下もそれを感じ取って萎縮し、本当にパフォーマンスが下がってしまうことがあります(ゴーレム効果)。
確証バイアスは、単なる見間違いでは済まされず、実際に相手をダメにしてしまう危険性も孕んでいるのです。
対策:事実ベースで記録する
「印象」で評価するのをやめ、「数字」や「具体的な行動事実」を記録して、客観的に判断する仕組みを作ることが重要です。