
カイ
いやー、昨日のサッカーの試合、見ましたかレンさん?相手チームのサポーター、本当にマナーが悪くて腹が立ちましたよ。ブーイングはうるさいし、ゴミは散らかすし…。ああいう「品のない連中」がいるから、スポーツの質が下がるんですよね。

レン
やあカイ。昨日はご贔屓のチームが負けて、ご機嫌斜めだね。でも、君の応援するチームのサポーターも、先月「熱くなりすぎて発煙筒を焚いた」とニュースになっていなかったかい?

カイ
ああ、あれは一部の過激な人がやっただけで、僕ら普通のファンは違いますよ!僕らは純粋にチームを愛しているし、情熱を持って応援してるんです。相手チームみたいに、根本的にガラの悪い連中と一緒にしないでくださいよ。

レン
…なるほど。ウチの不祥事は「一部の例外」で、ソトの不祥事は「全員の性質」。カイ、君は今、教科書通りの**「内集団バイアス」**に陥っているね。

カイ
バイアス? 差別してるつもりはないですよ。事実を見たまま言ってるだけです。

レン
人間は、自分が所属するグループ(ウチ)には「多様性」や「事情」を認めるが、所属していないグループ(ソト)は「みんな同じような奴らだ」と単純化して見る癖があるんだ。これを「外集団同質性バイアス」とも言う。

カイ
うっ…。確かに「相手チームのファン」ってだけで、全員同じような顔に見えてたかも…。

レン
客観的に見れば、君のブーイングも、彼らのブーイングも、同じデシベルの「騒音」かもしれないよ?それを「ウチは情熱、ヨソは迷惑」と脳内で書き換えているだけさ。

カイ
…言われてみれば、相手のチームにもゴミ拾いしてる人はいました。僕が勝手に「悪者」というフィルターを通して見ていただけなんですね。なんだか、スポーツマンシップに欠けてたのは僕の方かもしれません。

レン
気づけたなら素晴らしい。ユニフォームの色が違うだけで、彼らも君と同じ「サッカーを愛する人間」だ。そう思えば、次はもう少し気持ちよく試合が見れるんじゃないかい?

カイ
そうですね。次は相手の良いプレーには拍手を送れるよう頑張ってみます。…まあ、試合には絶対に勝ちますけどね!

レン
はは、その勝負強さは大事にしなさい。
やあ、レンだ。今回のテーマは「内集団バイアス(In-group Bias)」。
自分が所属するグループ(内集団)のメンバーを好意的に評価し、それ以外のグループ(外集団)を低く評価してしまう心理傾向のことだ。
■「ウチ」は複雑、「ソト」は単純私たちは自分のグループのことは「いろんな人がいる(多様性)」と理解できる。
しかし、外のグループに対しては「あいつらは全員〇〇だ(同質性)」と決めつけてしまいがちだ。
「最近の若者は…」「あの学校の生徒は…」「関西人は…」といったステレオタイプも、このバイアスから生まれることが多い。
■コイン投げで決まる仲間意識心理学の実験では、コイン投げで適当に分けただけの即席グループであっても、「同じグループの人」には優しくし、「違うグループの人」には冷たくなることが分かっている。
人間は「何かに所属している」と安心するために、無意識に「境界線」を引き、外側の人を下げてしまう悲しい習性があるんだ。
■処方箋:共通点を探すもし「あのグループの人たちは苦手だ」と感じたら、境界線を消す努力をしてみよう。
「相手チームのファン」ではなく、「同じサッカー好き」として見る。
「違う部署の人」ではなく、「同じ会社の仲間」として見る。
カテゴリー(レッテル)を外して、その人個人を見ること。
それが、偏見という曇ったメガネを外す唯一の方法なんだよ。