
タヌキ店長
フクロウ先生、聞いてくれよ。今月からお弁当をリニューアルして、「並(300円)」と「上(500円)」の2種類にしたんだ。「上」の方が利益率が高いから売りたいのに、みんな「並」ばっかり買っていくんだよ。

フクロウ先生
それは「極端の回避」という心理ですね。選択肢が2つだと、お客様は「高い方を買って損をしたくない」とか「安い方で十分だろう」と考えて、安い方を選びがちなのです。

タヌキ店長
えー、自信作なのに。じゃあ、「上」を400円に値下げするしかないのかなぁ?

フクロウ先生
いえ、逆です。さらに高い『特上(800円)』を追加して、3種類にしなさい。中身は豪華なデザート付きとでもして。

タヌキ店長
はぁ? 500円でも売れないのに、800円なんて誰も買うわけないじゃん!先生、ついに計算ができなくなった?

フクロウ先生
騙されたと思ってやってみなさい。800円は売れなくていい、「見せ金」としての役割があるのですから。これが『松竹梅の法則』です。

タヌキ店長
(数日後)……信じられない! 飛ぶように「上(500円)」が売れていく!お客さんがメニューを見た瞬間、「800円は贅沢だけど、300円じゃ寂しいし……よし、真ん中にしよう」って勝手に選んでくれるんだ!

フクロウ先生
人は3つの選択肢があると、心理的に真ん中を選びたくなる傾向があります。「松(高)」を見せることで、それまで高いと感じていた「竹(中)」が、「標準的で安心できる価格」に見えてくるのですよ。

タヌキ店長
すごいや!この調子で次は『超極上(100万円)』を作って、800円を安く見せるぞ!

フクロウ先生
極端すぎます。比較対象として機能しないほどの高値は、ただの「ふざけた店」と思われるだけですよ。
行動経済学における「極端性回避(Extremeness Aversion)」の一種。3段階の選択肢がある場合、最も極端な「上」と「下」を避け、無難な「真ん中」を選ぶ心理傾向です。
脳内で起きていること
黄金比率「2:5:3」
一般的に、3段階の価格設定をすると、購入比率は「松2割:竹5割:梅3割」に落ち着くと言われています。
本当に売りたい本命商品(利益率が高い商品)を「竹」に設定し、その引き立て役として「松」を用意するのがセオリーです。「松」は売れなくても、メニューにあるだけで「竹」を売る仕事をしています。